焼き筍のお吸い物

春になると筍が食べたくなります。 堀りたてのエグ味の少ない筍は、ほとんど下処理なしに食べることも出来ます。 まさに今が旬の筍本来の味を堪能するには、やはり薄めの味付けで頂きたいものです。

と言うわけで、今回はお吸い物と合わせて作ります。

【レシピ】 <2人分>
・筍の先の部分 (水煮のものでも可)・・・4切れ
・生なめこ・・・50g
・生わかめ (カットわかめでも可)・・・50g

昆布だし・・・400ml
・酒 (日本酒 or 料理酒)・・・大さじ2
・薄口醤油・・・大さじ1
・塩・・・小さじ1/2

【 作り方 】  出来上がりTIME 10分 (筍の下ゆで時間は含まない)
(1) 下ゆでをしてある筍の先端部分を縦に4等分に切る(1人2切れ)。 切り口表面に薄口醤油を塗ってアルミホイルに乗せ、弱火のグリルで薄く焼き色が付く程度に焼く。

(2) 生なめこは15秒程度沸騰した湯にくぐらせてザルに取り、表面のぬめりを多少落としておく。

(3) 鍋に昆布だしと酒を入れ、ひと煮立ちさせてアルコール分を飛ばす。その後、薄口醤油、塩を加える。

(4) (3)に(2)と塩抜きをした生わかめを入れ(カットわかめの場合は水で戻しておく)、味見をし、塩で調整する。

(5) 器に(1)を入れ、(4)をそそいで完成。

作り方のポイント
・ お吸い物でなめ茸を使用する場合は、ぬめりをしっかり取る方が吉村好みです。 なめ茸の独特のぬめりは私も好きなのですが、今回の料理は筍が主役なので、あまりなめ茸が主張することを良しとしません。 また、ぬめりが多いとどろっとした食感になって、お吸い物をあっさりときたい方には不向きでしょう。
・ 筍に焼き目を入れるときは、コンロについているグリルでも良いですし、オーブントースターでも良いです。 身近にあるものをご利用ください。

ひとこと
今回、筍は比較的柔らかい先端部分のみを使用しました。 他の部分は身がしっかりしているので、炊き込みご飯や、煮物などに使用すると良いでしょう。


禅僧の知恵袋
【 皮付き筍の下ゆで 】
皮付きの筍の下ゆでは、独特のアクやエグ味を除くために必要な処理です。 掘った瞬間から筍の酵素の力で徐々に香りが落ち、硬くなり、エグ味が強くなっていきます。 出来るだけ早く下ゆでしましょう。

(1) 筍の外皮を2、3枚取り、皮のまま水洗いして汚れを落とす。
(2) 穂先部分を斜めに切り落とし、皮に縦一本の切り込みを入れる。
(3) 鍋に入れてかぶるくらいの水と米ぬか(米の磨ぎ汁でも可)を入れ、赤唐辛子1本を加える。
(4) 落とし蓋をして竹串がスッと通る位まで(約2時間位)ゆで、ゆで汁につけたまま冷ましたあと、皮をむく。
(5) きれいに水洗いし、水の中につけて冷蔵庫で一晩置く。

※ 柔らかくする成分が含まれているので、筍は皮ごとゆでてください。
※ 朝堀り筍であれば、米ぬかも唐辛子も使わず、水からゆでて30分ほど熱湯にさらし、ゆで汁につけたまま冷まし、よく水気を切って保存してください。

【 筍の各部位の使い分け 】
・先端の柔らかい皮は、姫皮と言い、「お吸い物の浮き実・和え物・酢の物・刺身」などに適しています。
・上部の柔らかい部分は、「お吸い物の浮き実・和え物」などに適しています。
・中央部の適度な堅さの部分は、「炒め物・煮物・揚げ物」などに適しています。
・根元の繊維が多くて硬い部分は、「炊き込みご飯・煮物・揚げ物・摺り下ろして練り物」などに適しています。

1977年3月生まれ。広島市街にある曹洞宗八屋山普門寺副住職。 相愛大学非常勤講師。 駒澤大学大学院にて仏教学修士を取得後、仏教を学問する世界から飛び出して実践の場を求め、曹洞宗大本山永平寺にて2年2ヶ月間の修行生活を送る。その後、広島国際大学大学院にて臨床心理修士を取得し、現在臨床心理士としても活動している。 彼岸寺では、2005年より【禅僧の台所 〜オトナの精進料理〜】を展開する。 現在、精進料理のみならず、禅仏教や臨床心理学、仏教マンガに関しても積極的に執筆や講演の活動を行っている。