なめらか胡麻豆腐

精進料理と聞いて最もイメージしやすい料理が、この胡麻豆腐ではないでしょうか。 と言っても、最近よくある胡麻入りの豆腐ではありません。

大豆を使用しないのに豆腐のような食感。 そんな胡麻豆腐ですが、私が修行していた永平寺では、主にお客様の接待用に作られていて、修行中の身である我々の口に入ることは殆どありませんでした。 そしてこのご馳走を作る時には、専用の銅鍋の前で数十分もひたすらに木のしゃもじを動かし続けなければならないのです。 とにかく作るのが大変だったことを覚えています。

しかしこの度、研究を重ねた結果、家庭でも簡単に美味しく、市販のものよりなめらかな胡麻豆腐を作ることに成功しました。 今回はその秘蔵のレシピをご紹介します。

【レシピ】 <4人分>
・吉野本葛(よしのほんくず)・・・40g
昆布だし・・・480g
・砂糖・・・小さじ1
・塩・・・小さじ1/2
・白胡麻ペースト(練り胡麻)・・・50g
・わさび・・・少々

<甘味噌の材料>
・八丁味噌・・・小さじ2
・みりん・・・大さじ1
昆布だし・・・大さじ1
・砂糖・・・大さじ1

【 作り方 】  出来上がりTIME 20分(固める時間を含まない)
(1) 鍋に昆布だしと吉野本葛を入れる。 本葛は漉し器を使って完全に溶かす。 さらに砂糖と塩を入れ、これも完全に溶かす。

(2) (1)を強火にかけ、木べらで鍋底をこするようにしてまんべんなく混ぜ続ける。 急激に固まり始めたら弱火にし、透明度が増すまで手を止めずに練り続ける。

(3) 火を止め、白胡麻ペーストを入れ、良くかき混ぜる。 うまく混ざったら、中火にかけ、焦げないように手早く練り上げ、木べらからゆっくりと落ちる程度のとろみがついたら火を止め、水で濡らした型に流し込む。

(4) 出来上がりに素(気泡の跡)が出来ないように、型を落として気泡を浮かせ、しっかりと空気を抜く。

(5) 乾燥を防ぐ為、表面をペタペタと濡れた手でならし、ラップなどで蓋をする。 4時間ほどで粗熱も取れ、固まる。 その間に甘味噌の材料を鍋に入れ、中弱火にかけながら焦がさないように5分程度混ぜ合わせて甘味噌を作る。

(6) 胡麻豆腐が固まったら、温めた包丁で切り分け、器の下に甘味噌を敷き、胡麻豆腐の綺麗な面を上にして乗せ、わさびを盛りつけて完成。

作り方のポイント
・ 葛は必ず「吉野本葛」を使用して下さい。
・ 型は、タッパーでも、浅い湯飲みでも、本格的なステンレスの型でも、何でも良いです。 どれであっても、水滴が残る程度に型の表面を濡らして、後で剥がれやすくすることが、キレイに作る秘訣です。
・ 作り方の(5)では、胡麻豆腐の表面に水を張るやり方もありますが、完全に水を切ることが難しく、食べる段階でどうしても少し水っぽくなる印象があります。
・ 常温でも十分固まりますが、粗熱を取った後、お好みで冷蔵しても構いません。

ひとこと
 保存は蓋かラップをして冷蔵庫に入れてください。 冷蔵庫で3、4日はもちますが、出来るだけ早く食べるように心がけましょう。

吉村 昇洋

1977年3月生まれ。広島市街にある曹洞宗八屋山普門寺副住職。 相愛大学非常勤講師。 駒澤大学大学院にて仏教学修士を取得後、仏教を学問する世界から飛び出して実践の場を求め、曹洞宗大本山永平寺にて2年2ヶ月間の修行生活を送る。その後、広島国際大学大学院にて臨床心理修士を取得し、現在臨床心理士としても活動している。 彼岸寺では、2005年より【禅僧の台所 〜オトナの精進料理〜】を展開する。 現在、精進料理のみならず、禅仏教や臨床心理学、仏教マンガに関しても積極的に執筆や講演の活動を行っている。