精進料理とは何か?

精 進 料 理 。 この4つの漢字を見て皆さんは何を思い浮かべるでしょうか? 肉や魚を使わない料理のことだろ。 そんなことぐらい知っとるわい。 と思ったそこのあなた!!

正解です。

が・・・しかし、不十分です。 肉や魚を使わないだけでしたら、 「野菜料理」と呼べば良いはずです。 では何故、わざわざ野菜料理に 「 精進 」 という言葉が使われているのでしょうか?

精進には 「(1)仏道修行に励むこと (2)心身を浄め、行いを慎むこと (3)肉食せず、菜食すること (4)一所懸命に努力すること(『 広辞苑 』より)」という意味があります。 そう言えば 『ミスター味っ子』という料理漫画には「精進せいよ!」と決まり文句を言う登場人物 “味皇” がいましたが、これは明らかに(4)の意味で使われています。 (1)の意味で言っていたら仏教漫画になってしまいますね。

まぁ、それはそれで面白そうですが・・・。

さて、話を戻しましょう。 もともと 「精進」 は仏教用語で、(1)の意味でしたが、転じて(2)、(3)、(4)の意味でも使われるようになりました。 (2)、(3)、(4)は(1)の内容説明みたいなものですから、矛盾は生じません。 となれば、もう皆さんもお察しの通り、精進料理とは仏道修行に励む為の料理ということになります。 野菜料理と明確に異なる点はズバリここなのです。

では、仏道修行とは何か? 私にとっては 「 飽くなき自己の根拠を問う旅 」 としての仏道ですから、精進料理とはその旅をする心身の為の食事と位置付けられます。 さらに言えば、何を食べるかではなく、どのように頂くかということの方が私には重要なのです。 同じ野菜を頂くにしても、どのような腹づもりで食べるのか? また、そのように食べてもらうには、どのように作れば良いのか? そもそも私と食べ物との関係とは何か?

このような視点に基づく食に関しての行動が、精進料理を作ることであり、食べるということなのです。

とりあえず今回はこの辺で。

それでは、また。

1977年3月生まれ。広島市街にある曹洞宗八屋山普門寺副住職。 相愛大学非常勤講師。 駒澤大学大学院にて仏教学修士を取得後、仏教を学問する世界から飛び出して実践の場を求め、曹洞宗大本山永平寺にて2年2ヶ月間の修行生活を送る。その後、広島国際大学大学院にて臨床心理修士を取得し、現在臨床心理士としても活動している。 彼岸寺では、2005年より【禅僧の台所 〜オトナの精進料理〜】を展開する。 現在、精進料理のみならず、禅仏教や臨床心理学、仏教マンガに関しても積極的に執筆や講演の活動を行っている。