【レポート】「ニコニコ超会議2018」に僧侶が参加してみたらこんなこと感じた!

皆さまはじめまして!渡辺慈海と申します。

このたび、4月28日〜29日の2日間、千葉の幕張メッセで開催された「ニコニコ超会議2018」に出展した「超テクノ法要×向源」に、僧侶スタッフとして関わるご縁をいただきました。自身もニコニコ動画を嗜むユーザーではありますが、僧侶スタッフとして関わって、感じたことなどをレポートしたいと思います。

「ニコニコ超会議」とは、インターネット動画配信サイト「ニコニコ動画」が主催するリアルイベントです。幕張メッセ全館+イベントホールを使用し、今年は2日で16万人の来場者があった超大型イベントです。アニメやゲームなどの定番・流行のコンテンツから囲碁・将棋や伝統芸能のブース、最新のテクノロジーの紹介や体験などもできる、大人から子どもまで楽しめる特大の文化祭ともいえる内容です。(もちろん各ブースの様子が生放送でネット配信もされます)

このイベントに、以前にニコニコ動画とタイアップして動画配信などを行ったこともある「テクノ法要」への参加の要望があったことから、東京を中心に寺社フェスを行っている「向源」とタッグを組んで、この度の出展が実現したとのことです。

内容盛りだくさんの「超テクノ法要✕向源」

「超テクノ法要×向源」では、主にステージイベントとステージ以外のブースがあり、初参加ながら他出展ブースに比べてもかなり広い場所を取っていただいていました。

ステージではテクノ法要から伝統的な声明まで、出演者全て僧侶というライブイベント。技術スタッフによる映像・音響効果とプロの調香師によって調合されたオリジナルのお香とともに、来場者を仏教の世界に引き込みます。
テクノ法要と言うと、斬新な試みのように思えるかもしれませんが、映像やテクノ音楽の効果が加わっていたり、音楽に合わせて一部テンポやリズムにアレンジが入っているだけで、読経の節回しなどはほぼ伝統的な読み方と同じ。浄土真宗のお経に慣れ親しんだ人なら、初めて聞いた人にでも一緒に歌う(読経する)ことができるものでした。

言い換えますと、昔の人が金箔や蝋燭の明かり等で浄土の輝く世界を表現してきたように、現代の技術で光の世界であるお浄土を表現しているということで、根底にあるものは実は変わっていません。実際、テクノに馴染みのない高齢の方にも驚きと感動を持って受け入れられているというのは、きっとそんなところに理由があるのだろうなということが感じられました。

ステージ以外では、騒がしい会場内の音をヘッドホンで遮断して行うミニ座禅体験「サイレント坐禅」や、向源定番の「お坊さん牧師さんと話そう」コーナー、各宗の袈裟・法衣の展示&実際に着用した僧侶によるトークショーを行う「袈裟コレクション」、大人一人がかがんで入って記念撮影できる仏壇「入れる仏壇フォトブース」、イベント期間中、仏師による仏像製作が行われネット配信も行われていた「仏像製作定点観測」など、盛りだくさんの内容でした。

私は「お坊さん牧師さんと話そう」「袈裟コレクション」のお手伝いをさせていただきました。
ただ、実際に始まるまでは、やはりお坊さんがニコニコ超会議という場に出るという「アウェー」感を覚えずにはおれませんでした。閑古鳥が鳴いていたり場違いのような扱いを受けないだろうか、そんな不安を片隅に抱えながら迎えた当日でしたが、いざ始まってみると、そんな不安はこちらが勝手に作り上げていただけだったと痛感させられるほど、多くの来場者が気軽に足を運んでくれたと思います。

仏教は若い人にもきっと届く!

ステージでは各ライブの開演時間が近づくと特に何の呼び込みもなくとも大勢の人が集まり、それ以外の時間も「お坊さん牧師さんと話そう」や「サイレント坐禅」では待機列で待ってもらわないといけないほどでした。特に「話そう」コーナーでは2日目では行列が増えすぎて途中で1人15分としていた時間を10分に縮めてもらうという緊急の措置を取ったほどです。お寺や僧侶に関する素朴な質問から、真剣な悩みまで様々な声を寄せていただきました。

また、もともとコスプレイヤーの方も多く参加しているイベントのため、「入れる仏壇フォトブース」にも記念撮影しようと行列ができていましたし、展示された袈裟を興味深く眺め、写真撮影をする人も何人もいました。袈裟コレクションのトークショーにも1回出演させていただきましたが、多くの人が足を止めて袈裟衣の話に頷きと笑いを交えながら耳を傾けてくれました。

広大な会場で、他にもたくさん楽しい催しが行われている中、仏教ブースに関心を持って時間を割いてくださる方がこれほどたくさんいたということに、良い意味での驚きと新鮮さを感じ、大変ありがたく感じました。

私がメインで参加していた「お坊さん牧師さんと話そう」のブースでは、普段接点のない宗教者と気軽に話せる場であったと、参加者からも好評をいただいていました。しかし、これは逆に言えば、普段私たち宗教者側が若い人との接点をほとんど持てていないということである、ともいえます。今、仏教界では若い人にどう伝えるかが大きなテーマになっていると思いますが、その問題の1つがこの「伝える私たちが、若い人と接点を持てていないこと」ではないかと思います。

今回、ニコニコ超会議という、普段と違う活動の場に出ていきながらも、多くの方に気軽に足を運んでいただき、仏教にまつわるコンテンツを楽しんでいただくことができました。寺院の外に出て人と触れ合い、気軽に相談したり話したりできる宗教者がいると知ってもらうことも、(それが直接的に伝道でなくても)仏縁につながっていくかもしれません。

そして今回、実際にイベントに参加して、普段のお寺とは全く違った場・全く違った形でのご縁づくりができるということを、身をもって味わいました。寺院で仏教を伝えていくという役目を持つ僧侶として、普段は「お寺という場の中で何ができるか?」という視点で考えていますが、お寺という枠も超えた場にも大きな可能性を感じることができたイベントでした。

なお、ニコニコ動画に会員登録すると、今ならタイムシフトという過去の番組の録画分を視聴できるサービスで超会議の「超テクノ法要×向源ステージ」を視聴することが出来ます。会員登録自体は無料ですし、本来有料会員にならないと見られないタイムシフトを無料会員でも視聴できるようにしていただいてるそうなので、興味のある方は是非御覧下さい。

 

超テクノ法要×向源ステージ@ニコニコ超会議2018【DAY1】
http://live.nicovideo.jp/watch/lv312195715

超テクノ法要×向源ステージ@ニコニコ超会議2018【DAY2】
http://live.nicovideo.jp/watch/lv312220913

 

渡辺慈海

浄土真宗本願寺派西蓮寺僧侶・布教使。

福岡教区子ども若者ご縁づくりマネージャーを担当しています。

彼岸寺は、仏教とあなたのご縁を結ぶ、インターネット上のお寺です。 誰もが、一人ひとりの仏教をのびのびと語り、共有できる、そんなお寺です。