【3/8】初開催!「わたし」と生き方を探究する場「Transition Session #1」を実施!


不透明な流れの中に立ち現れる「わたし」。ときに身を委ね、ときに堰き止め、ときに激流に身を打たれ、あるいは意識的に泳ぐ。無常なる濁流のなかに、「わたし」は日々なにを捉え、なにを手放しているのだろう。

テクノロジーの進化、地球の環境破壊、社会構造の崩壊、オルタナティブな価値基準の登場。私たちの外的な規範は変化し続けています。その中で生きる「わたし」という存在は掴めるようで、掴めない。そのような「わたし」を語る上で、仏教思想にはゆたかな蓄積があります。

今回のイベントでは掴みづらい「わたし」、そして「生きること/死ぬこと」を探究する企画を実施しようと思い立ち、「Transition Session #1」を実施することになりました!

Transition Session を実施するのは、この文章を書いている、私、お寺出身のフリーランス・イベントデザイナーの三浦祥敬と、神谷町・光明寺に所属する僧侶の松本紹圭さんです。

終身雇用のシステムが崩れつつある今、たとえばフリーランスとして複数の企業から仕事をいただいて生きている人たちも増えています。また2拠点生活、多拠点生活を行う人たちも出てきました。そこまで大げさでなくとも、家庭や仕事の場以外のいくつものコミュニティに顔を出して暮らしていく中で、「わたし」はこういう人間であると言い切ることができない人も多くなってきているのではないでしょうか?

私たちの所属先が「わたし」を完全に説明し切ることはありません。私たちはそのような曖昧な「わたし」、すっぱりと割り切れない「わたし」を抱えているのではないかと考えます。

私自身が、ここ数年ほど自分がしたいことをして生きていきたいという気持ちがとても強く、周りと衝突し、自分にしっくりくるコミュニティを見つけることができていなかった人間です。いまでもしたいことをするという気持ちは強いのですが、この1年で内的に変化しつつあります。アートの領域に顔を出し、ラーニング(学び)領域に顔を出し、デザインの領域にも顔を出す。それらは統合されたものではなかったのですが、定義できない自分を受け入れることができない葛藤と常に隣り合わせでした。

ですが、ここ1年ほどで、狭い「わたし」の定義が拡がり、それとともに独立後にタイミングを合わせたように仕事が舞い込んできたり、周りの人へのエネルギーが伝わりやすくなったりと、簡単に説明できない「わたし」の拡がりに気づきました。むしろ、何者でもない定義しきれない「わたし」にしっくりきています。とにかく「わたし」はこうだ!とわかりやすく明示しないと理解されない世の中になってきていますが、むしろ「わたし」を定義仕切らないことに可能性を感じています。

日常生活の中で、何かを”問う”ということをついつい忙しさの中で私たちは忘れてしまいます。20世紀のユダヤ人女性政治哲学者「ハンナ・アーレント」はユダヤ人大虐殺が起こったナチス政権下の全体主義を語る中で、「考えることの重要さ」を説き続けました。常識を疑い、思考の枠を取り払う力の重要性は思考停止の危険性など、彼女が唱えたことは、文脈は変われど私たちが心に留めておく価値があるものでしょう。

「わたし」を問うことはとても根本的なこと。私たちは色付きのメガネをかけているようなものです。その存在が当たり前になりすぎて、どのような色がついているのか問うことは少なくなってしまう。ですがそのような根本的なものであるからこそ、その変化は生活・仕事・創作の仕方の変化へとつながるはずです。

どのようなプロセスで探究するのかは当日になってからのお楽しみ。話を聞くだけの一方的な内容ではなく、参加者同士で話をする時間も設けています。意識的に「わたし」や「生きること/ 死ぬこと」について考える機会にしていただければと思います!

ちなみに松本さんとは彼岸寺にも掲載していただいた2017年8月のトークイベント「Redesign Night! テーマ”開発” 〜仏教の智慧から立ち現れる21世紀の開発観〜」をきっかけに一緒に活動することになりました。

会場は、東京神谷町にある浄土真宗本願寺派 光明寺です。ぜひお越しくださいね。

“Transition Session”では、フラットな関わりの中で【思想】と【技術】を用い、生き方について「探究」する時間を持ちたいと考えています。ご参加に哲学や思想の基礎知識は必要ございません。

【思想】面では、仏教思想をはじめとした、ある宗派に偏らない思想を参考にしながら、【技術】面では、William Bridgesによる『トランジション 人生の転機を活かすために』で用いられる理論を東洋的な文脈へと読み替えつつ、Transitionを独自のプログラムとして発展させていきます。

日時 2018年3月8日(木) 19時〜22時
会場 神谷町・光明寺(〒105-0001 虎ノ門3丁目25-1)
参加費 3,000円(税込)
定員 25名
対象 制限なし
申し込み方法 Peatix チケット購入ページよりお申し込みください。2018年3月6日(火)23:59締め切り。
主催 TRANSITION PROJECT
企画・運営 TRANSITION PROJECT(三浦祥敬/松本紹圭/森紗都子/瀧川真慶/辻村知夏)
お問い合わせ TRANSITION PROJECT 担当 三浦 obake.transition@gmail.com

1991年お寺生まれ。京都大学卒。持続可能な世界へのトランジション(移り変わり)をリサーチするインデペンデント・リサーチャー。特に人の内面の世界が移り変わることへの興味から、内的なトランジションをサポートする 1on1 セッションの実施やプログラムの実施、哲学をはじめとした領域とのコラボレーションをおこなう。文化を継いでいく人たちがゆるやかな連帯を紡ぎ、ともに持続可能な継承を探求・実践するコミュニティ「Sustainable Succession Samgha」を運営している。共著に『トランジション 何があっても生きていける方法』(春秋社)。