【7/3】耳と身体と心で感じよう。「声明と説教の世界」開催@福井

7月3日に福井県越前市にあります、真宗出雲路派のご本山、毫攝寺(ごうしょうじ)さんにて、真宗の真髄とも言える「声明(しょうみょう)」と「お説教」のイベントが行われます。今回、このイベントに関わっておられる泰圓澄一法(たいえんちょう かずのり)さんよりイベント紹介をご寄稿いただきましたので、ぜひご一読くださいませ。
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人はおぎゃあと泣いて生まれます。悲しいから泣くのか、不安だから泣くのか、誰かにその存在を気づいてほしいから泣くのか、保育園勤務の私でも赤ちゃんの気持ち全てを汲み取れるわけではないので、答えはわかりません。
でも、泣いて生まれてきたけれど、誰かを泣かせるために人は死ぬわけじゃない。
自分にとって存在の大きかった人の訃報は悲しみが強いです。だけど人を悲しませるために人は死ぬわけじゃありません。故人が何を願ってこの世から旅立ったのか、自分の感情以外にも目を向けて手を合わせ、心をその人に寄せるとどうでしょうか。
事故や病気を経て旅立った人が死んでなお、辛い道を歩んでいると私は思いたくありません。
「今まで歩んだ人生は大変だったけれど、もう辛い思いをしなくてもいい、迷わなくてもいい。
これからは迷ってばかりの私を見守っていてほしい、仏の世界から。私は日々の忙しさで忘れることもたまにはあるけれど、あなたは仏様として私をずっと想い続けてほしい。」
地獄極楽いろいろな教えがあり、僕自身は、閻魔大王に怒られ、針の山を歩くかもしれません。
でも僧侶としての私が手を合わせ立ち会った人たちは、苦から解放された仏の世界を向いている。そう信じ願っています。
今回、ご案内する読経と法話のイベントは、北陸の田舎町で開催するアナログな法要イベントです。流行の仕掛けもありません。でも、自分にとって大切だった誰かのことを思いながら、読経と説教が響く空間にどっぷりと身を浸すことができることでしょう。普段はしがらみやマイナスの人間関係などに疲れることも多いですが、お経や仏法を聞いている時間だけは、誰からも干渉されない、私と仏さまとの、贅沢な一時ともなるかと思います。お寺が単なる風景ではなく、それぞれの人の心の中で意味あるものになるチャンスをもった企画となっております。
浄土真宗寺院の空間は「阿弥陀経」というお経の極楽世界を模したインテリア(仏教の言葉では荘厳:しょうごん)になっています。目を閉じてもその世界が感じられるよう、香の薫りや花の匂いも仏事では供えた上で耳に音楽的なお経の調べ=「声明:しょうみょう」が聞こえてきます。?今回、そんな妙なる「声明」の世界を披露してくださるのは、福井の天台宗真盛宗のお坊さんと、「お東」さんとも呼ばれる真宗大谷派のお坊さんたち。天台真盛宗は密教と念仏の両方を行い、本尊を阿弥陀如来とするなど、浄土真宗とも縁があり、大津市にあるご本山の西教寺には真宗高田派第10代真慧上人の墓所もあります。また真宗大谷派も出雲路派とご縁が深く、この度、本山、京都東本願寺で親鸞聖人750回忌など多くの法要をつとめてこられた管生考純(すがお こうじゅん)師をお迎えして、お勤めをいただきます。「柔キ冝弱キハ悪・強キハ冝剛キハ悪」(柔らかなのはいいけれど弱いのはよくない、強いのはいいけれどゴツゴツした声はよくない)という大谷派声明の持つ魅力と、管生師の広い本堂を満たす伸びやかな声の響きを、耳と身体で感じていただけます。
さらに浄土真宗では、「荘厳で手があわさり、読経で浄土にいざない、説教で肚におとす」とも言われるなど、「説教」も大切にされてきました。「説教」というと、怒られることをイメージされるかもしれませんが、教えを説くという意味です。特に語り手の抑揚が「節(ふし」となったものを、「節談説教(ふしだんせっきょう)」と言い、最近は各地で布教会も開催されていますが、浄土真宗の各本山で高座説教を聴く機会はまだ非常に少なく、今回は貴重なご縁となっております。
今回登壇いたくのは、愛知・有隣寺の祖父江佳乃(そぶえ よしの)師と、大阪・壽光寺の萼慶典(はなぶさ よしのり)師のお二人。教えを説くプレゼンのツールは口からの語りのみ。パワポも映像も必要としない説教使が言葉で伝える仏の世界に出会っていただけることでしょう。
気になるけど当日はご都合の合わない方のためにDVD製作クラウドファンドも実施中しております。こちらも皆さまのご支援をお願いいたします。
◆声明と説教の世界 
 
日 時:2017年7月3日(月) 13時より16時
会 場:福井県越前市 真宗出雲路派本山 豪摂寺 http://www.goushouji.jp/info/info-3968/
内 容:お経 真宗大谷派声明(管生考純師 ほか) 天台真盛宗声明(福井教区蒐修会)
    説教 高座説教 祖父江佳乃(愛知 有隣寺) 、萼慶典(大阪 壽光寺)
料 金:入場無料(お気持ちでお布施をお願いいたします)
その他 当日ご参加できないけれど、イベントが気になるという方のためにDVDを製作します。
    興味ある方はクラウドファンド”CAMP FIRE”内のサイトをご覧ください。
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泰円澄 一法(たいえんちょう かずのり)
福井県越前市長慶寺 副住職。9歳で得度。真宗教団連合和訳正信偈講師。
普段は保育園に勤め生計を立てながらお寺の活動を行う。たいえんちょう園長。
社会福祉士・介護福祉士・調理師。hasunoha僧。
今城良瑞師たちが立ち上げた一般社団法人メッターにも参加、子ども達のための祈りや児童福祉活動も行う。

不思議なご縁で彼岸寺の代表を務めています。念仏推しのお坊さんです。