仏前結婚式(後編)

お寺に集まったご近所さんやお檀家さんは新郎新婦の晴れ姿を見ておしまいではありません。披露宴のため私たち夫婦がお寺から(会場のホテルへ)姿を消した直後に「ザ・名古屋!」な光景が繰り広げられたのです。それが菓子撒きです。屋根からお菓子を撒いたわけではありませんが、後から写真の記録を見る限り境内がバーゲン会場のような光景でした。義両親が用意した大量のお菓子がものの数分で次々と無くなったのです。名古屋駅の近くには今も嫁菓子を扱う駄菓子問屋の密集地があるので、個人的には今後も残ってほしい地域文化であります。(その他にも東海地方の特徴として、引出物・引菓子・名披露という3品が引出物セットだという事にも驚きました)

披露宴は特に「お寺ならでは!」という部分はありませんでしたが、私たちは披露宴の入場も雅楽の生演奏にしました。今まで自分が参列した披露宴はキャーと明るい歓声とともに新郎新婦が入場するパターンばかり見てきましたが、雅楽となればこちらも歯を出して笑っていいものか、結局どんな表情で歩けばいいのか分からないまま入場してしまいました、、

あとはお祝いスピーチの中で何度も「仏教・キリスト教」という単語が出てきました。これまでご高齢のお檀家さんからとくに「どこのお寺から嫁いできたのですか?」とお寺出身前提で質問されることもしばしばだったので、今こうして柔軟で理解のある親戚・友人・お檀家さんたちに祝福され胸がいっぱいでした。

お寺では日を改めてお檀家さん向けに結婚の報告を行いました。
「成婚慶讃奉告法要」とご案内し、法要のあとに知人の和太鼓奏者の演奏を聴いて楽しみました。この日は多くの方がお祝いを包んで持って来てくださったのですが、後々聞くところによると「お寺さんに紅白の祝儀袋でいいのか?」と悩まれた方が多かったようです。これには私も驚きました。きっとお寺はお葬式や法事といった偲ぶイメージが強いからでしょうか。そういえば知人からも「お寺は夜とか怖くないの?」とよく聞かれるので、不気味で暗いイメージがあるのかもしれません。

当の本人は、いたって暗いイメージどころかお寺や仏教に触れていくごとに「ポジティブ」な場所だと感じているのですが。お亡くなりになった方を仏縁とし、これからの道しるべを差し向けてもらえる明るい場所。自分の足元を確かめたり、リセットしたり、お寺ってそういうパワーの溢れた場所だと思うようになりました。

そんな大事な場所で「仏前結婚式」を執り行う事ができて、振り返るほどにヨカッタなぁ…と思うわけです。まだまだ仏前結婚式は主流ではないし、お寺サイドの準備も大変で、受け入れ可能なところも少ないかもしれませんが(規模に囚われなければ家の仏間でもできる?)今後仏前結婚式を視野に入れる若い人が増えるといいなぁと思いました。それくらいじんわり胸に響く挙式スタイルです。

もう1回結婚式やりたいな、なんて。

こじま あゆみ

滋賀県出身。キリスト教(カトリック)を熱く信仰する家庭で育つ。6人兄弟の長女でクリスチャンネームはマリア。 2014年春、お坊さんと恋愛結婚しお寺に嫁ぐことに。現在名古屋市にある真宗大谷派・開闡寺(かいせんじ)の若坊守として日々奮闘中。京都の老舗木版画店「竹笹堂」の元店長。