太陽はいつも未来を温めている

一年で最も昼が短い冬至は12月20日前後(昨年は12月21日)。でも、一番寒さが厳しくなるのはまさにこれから、1月下旬から2月になります。「あれ、日照時間はのびてきているのに、なんでどんどん寒くなるのかな?」とふしぎに思ったことはありませんか?

この理由は、知ってしまうとすごくシンプル。よく「やかんを強火にかけてもすぐには沸騰しない」という例で説明されますが、太陽が地面を温めて気温を上昇させるためには時間が必要だから、冬至の頃の日照時間の影響が出るのは約一ヶ月ほど後になるということなのです。

ちなみに、「日本の夏は8月が最も暑い」という理由も6月に迎える夏至の影響が遅れてやってくるから。しかも、梅雨のシーズンの日照時間が短さにより、梅雨明けから地面が熱くなるため夏至から約1ヶ月半のタイムラグがあるというカラクリになるそうです。

「今日はお天気がよくてあったかいなあ」

太陽は今日という一日をあたためてもくれますが、「対地球」という大きなレベルでは少し先の未来を温めています。地面よりも温まりにくく冷めにくい海では、夏至や冬至の太陽の影響が出るのは約2ヶ月先。地上より少し遅れて季節が巡っています。

何か状況を変えたいとき、新しい何かを生み出したいとき、焦りを感じるといつも太陽のことを考えます。動き出してもすぐには結果は現れないし、少し先の未来をほんの少しずつ動かしていくのがやっとです。でも、火をつければいつか温かくなっていくし、温めつづければ沸騰するかもしれない……そう思いつづけられるかどうかが、ものごとを変える力なのだと思います。

何を成し遂げるにも時間は必要です。そして、成し遂げられるかどうかは自分の心を支えられるかどうかという意思と、それを支えてくれるさまざまな力や条件、つまりご縁も大きく作用するのではないでしょうか。

今日もいいお天気!いま、私たちを照らしている太陽の光は約一ヶ月先の未来を温めてくれています。

お坊さん、地域で生きる人、職人さん、企業経営者、研究者など、人の話をありのままに聴くインタビューに取り組むライター。彼岸寺には2009年に参加。お坊さんインタビュー連載「坊主めくり」(2009~2014)他、いろんな記事を書きました。あたらしい言葉で仏教を語る場を開きたいと願い、彼岸寺のリニューアルに参加。著書に『京大的文化事典 自由とカオスの生態系』(フィルムアート社)がある。