負けることが許せない 〜グーチョキパーで何つくろ?〜

プロ野球 楽天イーグルスのマー君こと田中将大投手が無敗のまま20勝以上勝ち続け、記録を次々と塗り替えています。中には101年ぶりに更新された記録もあり、歴史に残る活躍をしています。

野球に限らず、サッカー、陸上、水泳等のスポーツでは勝敗で順位が決まり、「勝ち」=「価値を高める」につながることが多いです。反対に「価値を高める」ことが「勝ち」につながるといえば、株や投資の世界があてはまると思います。選んだ企業や商品価値の高低が、自分の利益に大きく関係してきます。

現在ではあらゆるところに勝ち負けは存在しています。勝つためにする努力で身につく向上心や決断力、集中力は社会を生き抜くための大きな味方となります。また、勝つことで大きなものを手に入れたり、人が成長することも多々あるので、勝負そのものを否定することは難しいです。

ただ、勝ち負けへのこだわりも度を過ぎると不安や恐怖、苦痛の種になります。負けないために課す厳しさが人を追いつめてしまう。このことで辛い気持ちを誰かが感じることも少なくありません。「負けることが許せない」人を否定する必要はありませんが、勝負への執着だけで苦の種を抜くことも難しいです。

私は時折、息子相手に手遊びをします。「グーチョキパーで何つくろ」といって右手と左手でグーチョキパーを組み合わせ身近なモノをつくります。例えばグーとチョキでカタツムリ、チョキとチョキで蟹さん、グーとパーでヘリコプター。ジャンケンでのグーチョキパーは、対立することが前提なのでグーはグーの形を変えることは許されません。ですが、この手遊びはグーそのものの役割だけ考えるのではなく、他との組み合わせを考えなければいけません。対立と組み合わせ。両方の考え方が世の中には必要です。勝負に勝って何かを手に入れる作業を繰り返すことだけが人の役割ではないと私は考えます。ただのお遊戯といわれればそれまでですが、これから先、大小数えきれない勝ち負けを息子は経験していきます。彼の人生が修羅の道だけを歩まなくてもいいように、手遊びを通じて伝えたことを思い出してほしいなとも思います。

今年の夏の高校野球は、1校の勝者と3956校の敗者で成り立っていましたが、敗者も1校の勝者に劣らない何かをつかんで夏を過ごしたことと思います。先のマー君も高3の甲子園では1校の勝者になれませんでしたが、そこで得たものとプロに入ってからの経験を組み合わせた結果が現在の活躍につながっているのではないでしょうか。

グーチョキパーで何つくろ。右手がパーで、左手もパーで、、、、
合掌。なまんだぶつ。

●泰圓澄 一法(たいえんちょう かずのり)さん プロフィール
福井県 浄土真宗 長慶寺

一言自己紹介
障害者事業所、児童養護施設を経て現在は保育園に勤務する兼業僧侶です。
社会福祉士、介護福祉士、調理師、真宗教団連合講師

彼岸寺

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